老舗ライブハウス新宿「ANTIKNOCK」にMartin Audio TORUSが日本初導入
店舗を運営する「Hardaway Corporation」様、設計・施工を手掛けた「エンター・サンドマン」様にお話を伺いました。
コロナ禍の窮地を支えた絆と、次世代へつなぐライブハウスの音作り
「コロナ禍で直面したライブハウスの危機には、アーティストが中心となってドネーションのためのTシャツ販売を手伝ってくれ、感謝しかない。」と話すのは、店舗を運営するHardaway Corporation代表の関川氏です。
「ANTIKNOCK」としてお返しできることはなんだろうと考えたとき、真っ先に浮かんできたのがスピーカーの改修だったといいます。

元々あったスピーカーは中~長距離向けで非常に大きく、ステージが狭く見えてしまうということ、またライブを通して低音の解像度にも問題を感じていたといいます。
「多ジャンル」や「小型化」、「システムの安定化」をキーワードに敢行されたスピーカー入れ替えに際し、プランニングを担当したエンター・サンドマンの橋本氏はこう語ります。
「ANTIKNOCKさんとは10年以上のお付き合いになりますが、今回のご提案にあたっては、出演するバンドの傾向を踏まえたお店の色味、ハコの形状や矩体の構造、そしてスピーカーの大きさや性能を総合的に考慮し、プランニングを進めました。
このハコに合った短~中距離をしっかりカバーできるモデルに変更するというコンセプトにマッチしたのが、ちょうど新しくラインアップされたばかりのTORUSでした。」

導入されたのは、TORUSシリーズのメインスピーカー「T1215」とサブウーファー「SXCF118」が片側2/2というシンプルな組み合わせです。積んだ状態での高さも綿密に計算し、音質面でもサイズの面でも最適な構成になったと橋本氏は言います。
TORUSには35mmボイスコイルの高域ドライバーが3つ搭載されており、ANTIKNOCKの出演バンドに多いシャウト系やラウド系のような、力強いハイが必要な場面に特にマッチし、ボーカルの明瞭度の向上にも寄与しています。

ANTIKNOCKの客席フロアには迫り出している左右の柱と天上に渡された梁があり、また客席後方の床が上がっているため、スピーカーとして間口は取りたいけれど、なるべく内に寄せなければならないという課題がありました。
TORUSはその点、ローとハイのドライバーの配置を反転させることができるので、ハイをLRとも内側にした設置が可能で、どちらの明瞭度も保ちつつ、間口をなるべく広く取ることができました。
シミュレーションにはMartin Audioの新しいソフトウェアDISPLAY 3が活躍。ここで明らかになった細かい特性の違いを反映させることで、より良いシステムが提案できたといいます。

「TORUSにはもう一つ特徴があり、ハイの水平方向の指向角を30°と45°にワンタッチで変えられるようになっています。この現場のように、壁側を広くすると途中のせり出しに当たってしまい、音が濁ってしまうような場合でも、指向角の調整によって改善することが可能です。DISPLAY 3は、TORUSで可能となった水平方向の特性の変化も検証できるようになっています。」と語るのは、オーディオブレインズのエンジニア太田氏です。
またお店が今後の展望として掲げる多ジャンルへと対応するため、「lake」を間に挟むことでジャンルごとに適切な音場に調整できるようになっており、ジャンルごとの特性の切り替えはお店の方が行うことができます。

「ANTIKNOCKは激しいバンドが多いライブハウスでもあり、総じて音も大きめで提供することが多いのですが、このスピーカーに替えてから、音がクリアになってオペレートしやすいと感じます。お客さんからは『すごい迫力だったけど、耳は疲れなかった』といった声が届いています。うちらしい迫力のある音を、きれいに打ち出せるのはすごく嬉しいですね。」と語るのはオペレーターを務める國井氏です。
「ライブハウスというものが、ある種のカルチャーやネームバリューだけでは生き残れない時代になっていることを痛感しています。音響システムは、その意味でも強力な武器です。当店では今回、いろいろなニーズに対応できるシステムが導入されましたので、今後は我々スタッフも努力してライブシーンを一層盛り上げていきたいと思います。」と店長の柳澤氏はこう締めくくりました。

本日は貴重なお話をありがとうございました!
所在地:東京都新宿区新宿4-3-15 レイフラットビルB1F
事業内容:1985年オープンの老舗ライブハウス