梅田芸術劇場プロデュース公演『INSPIRE 陰陽師』公演(日生劇場)でMartin AudioスピーカーとSound Adventuresシステムが活躍
大沢たかおが主演を務める舞台『INSPIRE 陰陽師』が、2020年年末の12月31日から2021年初春1月6日まで東京・日生劇場にて開幕されました。
本作は、ブラジリィー・アン・山田、岡本貴也、寺西南都が脚本を、山田淳也が演出を担当したエンターテインメントが満載のステージです。大沢たかおが陰陽師・安倍晴明を演じ、平安時代と令和の今、それぞれの時代で起こった謎の日食に対して挑む姿が、様々な最新テクノロジーを駆使した映像効果、音響効果、そして光のイリュージョンを交えながら描く舞台作品です。
伝統ある日生劇場では滅多に見られない、巨大なLEDスクリーンによる背景演出、舞台上空に吊り下げられた可動式の円形LEDスクリーンは、芝居の展開に合わせて上下し、様々な様相を見せます。さらに目に入っても健康被害のない新型のファイバービームが、客席内を乱れ打つ大変エキサイティングな演出が盛り込まれています。
演出家の山田淳也氏はこの特別な作品の音響演出でも、これまでにない特殊効果を盛り込みたいと考え、MSI JAPAN東京社長の鶴澤氏に声をかけました。
「前に鶴さんから聞いた3D音源を使ったLIVEをやりたいと思っているんだけど協力出来る?」「もちろん出来ます!」
会場内に設置されたスピーカーはメインL/R(WPM 8本アレイ+SX118サブウーファ2本)に加えて、ステージフロントが5か所(いずれもWPM)。この他会場内にスタンド立てでXD12が7か所設置されました。さらに劇場常設のプロセニアムLCRや中2階席のウォールSP、2階席のウォールSP、バルコニー席狙いの補助スピーカー、そして2階席最後列には仮設でA55がマイクスタンド設置で設営されました。これら合計31系統の出力はMartin Audio Sound Adventuresとして知られるSARA2プロセッサーによって制御がなされました。
WPMやXD12の駆動にはiK42パワーアンプが、A55の駆動にはPowersoft Mezzoが使用されました。さらに仮設設備と常設設備を一元的に制御したいところからほぼ全ての系統にLake LM44プロセッサーを使っています。これらは全てDanteで接続。収録の回線やバックアップのProToolsなども加わったのでDanteパッチポイントはついに総数200箇所を超えました。
SARA2イマーシブレンダリングエンジンはOSC(オープン・サウンド・コントロール)と呼ばれる外部制御プロトコルに対応します。今回はオーディオブレインズのユニークなノウハウによって、効果卓の再生用アプリケーション、Ablton Liveを再生した瞬間に同時にMIDI信号が出、これを別アプリケーションでOSCに変換してSARA2を制御するという高度な制御が行われました。こうすれば効果卓オペレーターがSEを再生したのと同じタイミングでもれなく特定の音像定位や音像移動演出が実現できます。
さらにこれを応用させて、12月31日と1月3日に行われたインターネット上のライブ配信では、その配信音声もバイノーラル化することに成功。SARA2とKLANG:fabrikプロセッサーをひとつのMMCで同時にOSC制御することでこれを実現させました。
MSI JAPAN東京社長鶴澤氏は今回の公演をこう振り返ります。「音だけが3D(立体)になっても アーティスト、演出、舞台、照明、映像 その時のLIVE空間、全てがリンクしていなければ効果は無いに等しいといえます。各セクションとの協力や客席をまんべんなくカバーするスピーカープランにより、INSPIRE陰陽師の醸し出す独特の雰囲気を、最新の音響技術を使って表現する事ができました。まるでその場にいるような臨場感と共に、新しい感動をご提供出来たと確信しています。」