FATBOY SLIMの‘The Round Trip,公演でCAPITAL SOUNDのMLAが活躍
これまでワールドクラスのDJがアリーナでの公演を避けてきた最大の理由は通常のナイトクラブの雰囲気を巨大な長方形の空間、つまりアリーナへ転換させることの難しさでした。
2016年Capital Sound HireのテクニカルマネージャーであるRobin Conwayは、O2 ArenaでのFatboy SlimことNorman Cookの360度ステージのプランを行いました。彼が信頼できるMartin Audio MLAを使って、アーティストが観客のすぐそばにいるような独自のステージデザインでした。 “DJブースが真ん中にあったら、でかいアリーナにいることを忘れてしまいます。 我々はアリーナを巨大なナイトクラブに変える方法を考えたんです。”Cook氏はインタビューの中で、このように述べています。 “すごく予算がありましたしね。”
彼が後に‘The Round Trip,と称する6日間の最大のアリーナツアー(回転するステージ、ステージ上の筒形大型映像、紙吹雪や火柱などの特効が満載)を発表した時、キャピタルはPAを増やし、この盆と正月がいっぺんに来たような催しに臨むことにしたのです。
WembleyのSSE Arenaで、これまでで最大のDJショーとなりました。この上演を成功させるため、キャピタルのハウスエンジニア/プロジェクトマネージャーのDavid Preston氏とシステムテックMarty Beath氏は、様々な難題を解決しなくてはなりませんでした。特にミックスポジションはマザーグリッドから30メートル付近、つまり従来のモニター位置に近いあたりでした。
Conway氏は、次のように説明しています。“前回は4か所にMLA 4本とMLAコンパクトを2か所に設置しましたが、今回はビデオスクリーンの上に6か所のMLAを可能な限りセンターに近く配置しました。”見切れを確保するために、スピーカーは床から10mの位置に配置する必要がありました。
しかし最も複雑なのはサブでした。これは4つの独立したアレイで、各アレイは5本ずつのMLXで構成されていました。これがDJの頭上に配置されます。“これらはすべて内側に向かって密集配置され、完全に全方位特性のサブソースを作り出すのです”
フロントフィル用と、正方形のステージの両側に2台ずつ、合計8台のMartin Audioの DD12も使用されました。
「この設計は非常に効率的で、完璧でした。基本的にシングルソースであるため、コムフィルタはありません。私はこのデザインの大ファンで、本当に上手く機能していて、Martyは本当にうまくやってくれた。」
ただしMLAとMLXのそれぞれに、ケーブル引き回し100メートルが必要となるため、効率性の検討もリギング手順にまで拡大する必要がありました。
Marty Beath氏がDISPLAYソフトウェアで基本設計をプログラムし、会場の中央から毎日6つの断面図ファイルを作成し、すべてのアレイを個別のVU-NET制御にしていました。
可動モーターのトラスから光を発するこの会場は、まるでクラブそのもので、アーティストとプロダクションマネージャーMark Ward氏の両方を満足させました。
もちろん一流の舞台を作ったCapitalのチーフであるJonny Buck氏とPA担当のBen Turnbull氏の努力にも敬服です。