ボクシングイベントに向けて100台以上のMLAを保有したVME
10年来のMartin Audioのパートナーでマンチェスターに拠点をもつVMEは、アリーナで開催される主要なボクシングイベントのPAをサポートしてきました。
48本のMLAで始まったこの仕事は、大変需要が高いため、やがてレンタル機材は2倍以上に膨れ上がり、同社はMLAシリーズのレンタルストックを100以上に増やしたといいます。これでVMEはUKで最大のMLAレンタルカンパニーとなりました。
その理由をオペレーションマネージャーのAaron Harvey-Holt氏が説明します。同社は1年に40本以上のイベントをサポート。これらはスカイスポーツやBTスポーツ、DAZNを通してテレビ放送が実施されているのです。試合はWembley StadiumやWembley OVO Arena、The O2 Arena、Cardiff International Arena、そしてManchester AO ArenaなどUKの主要な会場で開催されています。
イベントはIBF世界ヘビー級王座戦も含まれます。David Haye対Tyson Furyの試合や、YouTubeのスターKSIとFaze TemperがウェンブリーのOVOArenaでの大戦で注目をされているmisfitsボクシングシリーズもあります。
会場のリギングシステムは普通のコンサート会場のものとはまるで別物です。例えば、PAのリギング位置はリングの上方で、7平方メートル以内に設置します。2万人の観客が入場音楽から、国家、インターバルミュージック、MCアナウンスまで、全てを明瞭に確実に聞こえるように、スピーカーの配置構成は4方向のメインに加え、分散スピーカーやディレイスピーカーというように変化に富んでいます。
とくにMisfitsイベントでの華やかさは特別なものでした。
Aaron Harvey-Holt氏はMLAが主要なシステムになった理由を「吊るのが簡単だからです。」と話します。「MLAはタイトスケジュールで準備する必要がある場合や、仕込み日数がないときに最適です。」さらに、テレビ会社からの様々な制約がある中で、フレキシブルであることは極めて重要です。このタイプのイベントでは、過去にやったことがある会場だったとしても、新たに測量しなくても良いとか、別のプロファイルを作成する必要がないという補償にはなりません。
「これがまさに24本のMLA Compactと20本のMLAを追加で購入した理由です。」とVMEのマネージャーは説明します。KSIの試合のために70本のMLAと24本のMLA Compactを導入しました。「私たちは全部で9か所にMLAとMLA Compactを吊りました。25本をメイン、サブ、サイドフィル用でステージエンドに配置し、MLX 5本を2か所のメインリギングの後方にフライングカーディオイドで設置、もう3か所はL/C/Rのディレイで配置されました。」
システムのフレキシビリティは、VMEのプロジェクトマネージャーMikey Greenwood氏やテックのBen Marsh氏と共に作業したシステムデザイナーのGareth Thomas氏に絶賛されました。彼はMLAの先進的な最適化が、音声を必要な所にのみ届けてくれることを理解しています。CAD上で水平投影をし、テレビインタビューが行われるところをマッピングし、”Hard Voice”機能を全てのVIP席に反映させました。これはまた放送用のマイクの感度も考慮され、リング周りの音を減少させる必要がある時に備えたかたちです。
「このような複雑なイベントにおいて、MLAにこれ程のコントロール能力があることは重要です。」とAaron Harvey-Holt氏は締めくくります。「多大なるメリットをあらゆる面にもたらしてくれます。」加えて、もちろんイベントのない時はMLAをクロスレンタルする需要がたくさんあります。忙しい夏の期間での必要不可欠品となるでしょう。