IMELDA MAY公演:キャピタルサウンドの新しいMLAパッケージ
イギリスのシンガー、イメルダ・メイがロイヤルアルバートホールでの単発公演を行い、ボブ・ゲルドフやロニー・ウッドといったゲストを迎えた圧巻のパフォーマンスを魅せました。
ロンドンの象徴的なコンサートホールであり、今回唯一サウンドシステムを持ち込みせねばならない会場に対し、これまで7年間このアーティストの機材提供を続けてきたキャピタルサウンドは、新しいフォーマットのロイヤルアルバート専用Martin Audio MLAシステムを準備しました。
新しいFOHエンジニア、ウェイン・スマート氏が参加し、270度のカバレージ(背面のコーラス隊の位置だけ空席)を必要としたこの公演では、昨年の春、彼らが成功裏に行なった公演(ロジャー・ホグソンやビーチボーイズのショー)よりコンパクトで効率的なシステムが必要でした。
スマート氏はMLAを使えて光栄であると言っているという、キャピタルサウンドの代表、ポール・ティミンズ社長がなぜロイヤルアルバートでフロントのPAを変更せねばならなかったかについて説明しています。「ホールの大型のリフトに干渉せず、リギングをより容易にしたかったからです。しばらく我々はシステムデザインを変えていませんでしたが、その間にスピーカーシステムはどんどん軽くなってきていました。我々はもっと搬送を考えた効率的なリギングパッケージの再検討を必要としていたのです」
PAは今回、片側12本のMLAがメインに、11本のMLA Compactをアウトフィルに(以前の12本より減りました)。センターには4本のMLXサブと1本の逆向きのサブが。さらにステージ下に床置きの3本のMLXと1本の逆向きのサブが低域の拡張をしています。
メインとサイドハングはキャピタル特製の1本の親トラスで支持され、それが会場のモーター2点でピックされています。そこにキャピタルはアレイごとに2点のモーターを用意し、すべてが独立コントロールできるようにしました。「2点で吊ることによってより正確な水平の振りはできなくなったんですが、メインもサイドもぐるぐる回ることはなくなりました」と彼は言います。
キャピタルのロビン・コンウェイ氏はセンターサブを吊ることで結果として機材量を減らせるということを開発しました。「我々はこれまではサブを吊ることはあまりしなかったのですが、このような円形の会場では、ディレイを合わせまくるより良い結果になります。」ポール社長が言います。結果的にPAはトレーラーではなく25tトラック1台にきっちり収まりました。
もう一つの発明は両サイドにMartin Audio PSX 15インチパワードサブウーファーを客席最後列用に用意したことです。「この‘パワープラント‘をフロントのDD6を鳴らすために使用しています。DD12が客席の半分くらいの位置にあって、別な2本のDD12がDD6の近所に設置してあって…とにかくメリットはアンプが要らないことです。そして全部ネットワーク上で制御できる」ポール社長が続けます。さらにキャピタルはステージモニターとして何本かのLE1500を使用していました。
MLAの価値が発揮されたのはイメルダがいくつかの曲をギタリストとともにFOHに近接したBステージでパフォーマンスした時です。FOHエンジニアはボーカルの十分なレベルを得ることができ、ハウリングの気配もありませんでした。PAからかなりの距離があったにも関わらずです。「彼はすごく感激していたよ」キャピタルの人間が言います。
同様に感激したのは制作監督、ポール・アレン氏とツアーマネージャー、ブレット・スペンス氏です。
AVID Profileを操るウェイン・スマート氏、DiGiCo SD10を操るモニターのフラン・ベムローズ氏の妙技で、その夜のサウンドはすばらしいものとなりました。