Kraftklub & Casper – MLA完備のツアーに密着
ドイツの5ピース・インディー・ロックバンドKraftklubが、Complete Audio提供のMLAシステムとともに今回で3度目となるメジャーツアー行いました。ベルリンを拠点とするイベント会社のComplete Audioと長年組んできたKraftklubがMLAシステム完備でそのファーストツアーに臨んだのは2012年。5年の時を経てバンドは、いくつかのライブハウスでの特別公演を別にすれば、ほぼ全行程を8,000~14,000人規模のアリーナサイズで行うまでに成長しました。
ステージセットアップはメインに左右各13本のMLAとダウンフィルのMLDが各1本、外側には各12本のMLA Compactを吊ったスタンダードな構成。サブウーファーは2段スタックで6箇所、計12台のMLXがステージエプロンに沿ってブロードサイドアレーの配置で並べられ、さらに低音域では外野席まで満遍なくカバーするため、メインのMLAのすぐ脇に吊るす形で3~4台のMLXが配置されました。
システムテックを担当したのはBenny Franke氏とThomas Birnbaum氏の2人。Complete Audioの社長であるAndré Rauhut氏は「これだけパワフルなサブをフライングで吊る構成では、他のシステムと上手く調和するよう気をつけなくてはいけません。2人ともタイムアライメントの調整には特に注意を払っていました。」と語ります。
Franke氏が本番前準備やMLAのセットアップに奔走する間、彼に代わってFOHでミックスを務めたのはNico Lindner氏。このツアーで初めてフライングのサブを経験したという同氏は「このセットアップにすることで地面置きのサブだけの場合にくらべ、外野席まで同様の音を届かせることがずっと容易になりました。」と語り、大満足の結果になったとツアーを振り返りました。
それと同じころ、Complete AudioがMLAシステムを投入したもう一つのツアーがありました。ドイツ/アメリカ系ラッパーCasperのアリーナツアー「Lang Lebe Der Tod (Long Live Death)」です。
こちらも合計26本のMLAをメインとする類似した構成でしたが、フライングのサブウーファーは用いられませんでした。これについてAndré Rauhut氏は、「Casperの公演のメインミックスに関して言えば、サブへのシグナルにおける50Hz以下のシグナルの割合が通常より大きいんです。だから弧を描くよう配置されたグランドスタックのサブだけでも十分な低音域の制御が可能でした。」と説明しています。グランドスタックのサブウーファーとして使用されたのは20台のMLX。左右両端には3段、ステージ前面には2段スタックのMLXがそれぞれ並べられ、合計24本のMLA Compactからなるサイドとともに会場を盛り上げました。
FOHエンジニアを務めたのはMLAについての知識も深いOliver Voges氏。システムテックとしてMartin Eckert氏、Andreas Zwirchmair氏らもツアーに加わりました。
2017年秋、これらのツアーでほとんど出ずっぱりの活躍となったComplete Audio所有のMLA。しかし冬以降にもヒップホップグループのTrailerparkやBoonez MC & RAF CamoraのツアーなどMLA/MLXを導入する予定のツアーが続々と控え、当分その勢いは止まらないようです。